アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3-13
-
桜井くんに連れられてミスコンの控え室にきた。
もう既に何人かの先輩は着替え終わっていて、化粧もほぼ終わっている。
すごく綺麗…。
「も〜、何したらこんな崩れるん?」
「お化け屋敷でたくさん泣いた」
「アホか。そら崩れるわ」
さっきのメイクさんに化粧を直してもらいながら、ほぼ無意識に桜井くんの返事に答えていた。
れーくんはどこに行ったんだろう…?
「うっ…」
「ちょ!泣かんといてや!化粧崩れるやん!どうしたん?」
僕がぽろっと涙を流すと、桜井くんが慌てふためいてたくさんティッシュを渡してきた。
僕にとってはミスコンなんてどうでもよくて、ただ今日女装していたことでれーくんのそばに堂々といれたことが本当に嬉しくて。
でもやっぱり本物の女の子には負けちゃって。
「れーくん……、工藤先輩とどっか行っちゃったぁ…っ」
「あー、前の人かいな…」
「僕…っ、今日だけでも女の子だと思った…のにっ…」
「白雪ちゃんの方が断然可愛いで。それにほら、王子だって白雪ちゃんの可愛い姿見て興奮しとったやん」
「でもっ…、でもれーくん…っ」
「あー。もう探してくるわ!だから泣かんって約束しぃ」
桜井くんが頭をガシガシと乱暴にかいて、控え室を出て行った。
鏡に映る自分を見て、僕は悲しい顔になる。
どれだけ可愛くしてもらっても、れーくんが選んだのはやっぱり女の人で…。
「ねぇ、神谷くん。笑ってみて」
「え?」
メイクさんは鏡ごしに僕を見て、口の端を指差しながらそう言った。
当然、今の僕には笑うことなんてできなくて。
「無理……です………」
「どうしてそんな悲しそうな顔をしてるの?彼がこないから?」
その質問に小さく頷くと、メイクさんは「よしっ」と化粧箱を漁り始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 377