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校舎裏に着くと、れーくんが空を見ながら立っていた。
ふわっと風が吹き抜け、手をかざした彼がこちらを向く。
「広翼……」
僕に気づいて、ニコリと微笑む。
「準優勝、おめでとう」
「う…、うん……」
僕たち二人だけしかいない校舎裏はやけに静かで、風の音や木々が揺れる音が鮮明に聞こえる。
「広翼」
あぁ、心臓がうるさい。
大好きな声に名前を呼ばれれば、もうそれだけで幸せで。
いつもより甘い彼の声は、僕の耳から体全体に響き渡る。
彼から目を離せなくて、一歩ずつ彼が近づくたびにドキドキが増して、瞬きを忘れてしまいそうだ。
れーくんは僕の前で止まった。
「広翼」
もう一度僕の名前を呼んだ彼は、今まで過ごしてきたどんな時より真剣な目をしていた。
その目は僕を射抜くように動かず、僕ももちろん目が離せなかった。
「ずっと言っていいのか迷ってた。広翼が傷付いたらどうしようって、言わないでおこうと思ってた」
彼の唇が動く。
「さっき堪え切れなくて、あんなことしちゃって、もう自分のことを抑え切れない。順番が逆になってごめん…。でも、素直な気持ちを言わせてほしい」
目が、離せない。
「広翼、好きだよ」
彼がふわっと笑った途端、僕は目からは何故か涙がこぼれ落ちた。
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