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扉を開けたのは大好きな大好きなれーくん。
部活後走ってきてくれたのか、呼吸が乱れている。
「お疲れ様」
「先生、広翼は?」
「さっき目が覚めたよ。もう平気そうだし、一緒に帰ってあげて」
先生が椅子から立ち上がり、入れ替わりにれーくんが座る。
カバンからスポーツ飲料を出して、僕のおでこにつけた。
「冷たっ!」
「さっきそこの自販機で買ってきたよ。飲みな」
「ありがとう。でも…」
れーくんの方が疲れてそうだし、たくさん飲んで欲しいな…。
そう思ってれーくんを見ると、不思議そうに首を傾げ、そして悪戯な顔で笑った。
「飲まないなら口移しで飲ませちゃうけど?」
「ふぇ?!」
耳元で囁かれて、突然のことに変な声を出してしまった。
湊先生も心配してこちらを覗きにきた。
「あ。海堂くん買ってきてくれたんだ。保健室にもあったからよかったのに」
「ありがとうございます。でも、帰り道もいつでも飲めるように買っておきたくて」
「しっかりしてるね。彼がいるならもう熱も下がってるし親御さんにきてもらわなくても大丈夫かな?」
湊先生にそう聞かれて、僕は首を縦に振る。
僕がれーくんの買ってくれたスポーツ飲料を飲んでいる間に、れーくんが僕の荷物も全部持ってくれていた。
「れーくん、そんなに重たいの駄目。僕も持つ」
「そんなこと心配しなくても大丈夫。帰ろう?」
手を差し伸べられて、反射的にその手を掴むと、ぎゅっと指を絡めて捕まえられた。
「お大事に」
「先生、ありがとうございました」
「湊先生、ありがとうございました」
二人でぺこりとお辞儀し、保健室を出る。
僕の歩くペースにれーくんも合わせてくれて、ゆっくりだけど確実に帰路についた。
「今日はカフェは諦めようか。また、今度行こう」
「えー」
「今度だったらレビューとか見て、オススメのスイーツも分かるよ?デメリットだけじゃないでしょ?」
楽しみにしていたカフェに行けなくて残念に思うのに、れーくんのそんな言葉だけで気分が晴れる。
僕に罪悪感を持たせないようにしてくれているし、今度行くときをもっと楽しみにさせてくれる。
好きな人とか、そんなことを差し引いても、れーくんはやっぱりとっても素敵な男の子だなぁと思った。
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