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箸休めss-ⅱ
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店にはcloseの札がかかっていた。今日はもう営業はしないつもりらしい。
ドアベルを鳴らして店に入ると、ティーシャツに短パンという、乙常と似た格好をした眞戸が、バケツとロウソクを持ってスタッフルームから出てきた。
「やぁ。花火はもう少し後でもいいだろう?」
「あぁ、構わないが…。手伝おうか?」
「いや、もうこれで最後なんだ。暗くなるまでお茶でもするかい?」
眞戸は四人掛けテーブルの近くに物を置くと、椅子にかけてあったエプロンを掴んでカウンターへと入っていく。
乙常はエプロンを着ようとする眞戸の動きを制止し、ビニール袋を持った手を顔の横まで上げた。
「差し入れだ」
「うわぁ、乙常くん!ありがとう」
乙常はその袋を机の上に置き、自分の特等席に座った。
初めて来た時からずっと、一人で来た時はここに座っている。この店の空間の中で、どこからも距離が程よくあって、居心地が良いのだ。
「いつもの礼だ。飲もう」
「うん!あ、僕もそっちに行っていいだろうか?」
「良いも何も…空いてるんだから」
乙常は自分の横の椅子を引くと、眞戸は嬉々とした表情を浮かべてカウンターから出てきた。途中で放り投げられたエプロンは見なかった事にしよう。
ニュースや近況報告など、世間話を楽しみながら酒を飲み交わし、時間が過ぎていくのも忘れて楽しんだ。
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