アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
体調が悪い日
-
その日、浅黄は起きたときから体調が良くなかった。
体が重く、何をするにも気力がわかず、起きていつものように牛乳を飲んでから、また、ベッドに座ったものの、だるさのあまりそのまま横になった。
微熱程度はあるかもしれないが、高熱ではなさそうだった。
先週までなら、居候の山野がいたが、今は一人で、普段、めったに風邪もひかないので、体調が悪いと少し心細くなった。
青山に連絡すれば、薬や食べ物を買ってきて、看病してもらえると思うが、一人で寝ていたい気もした。
きのう、本なんて読もうとしたから、身体が拒否反応をしてるんじゃないかと思った。
こうやって寝ていれば、夕方にはアサイラムに出勤できるようになるかもしれないと、再び目を閉じた。
何回か、寝たり起きたりを繰り返し、少し元気になってコンビニに食べ物を買いに行くなどしていくうちに日が暮れていき、今日は休もうかと思っていたところ、藤原から連絡があった。
「今日は体調が悪い」と言ってみたが、天気の話でもしたかのように「そうか」と返ってきただけだった。
「この間、天麩羅屋に入ったことがないって言ってたから、今日は天ぷらにした。
ここだったら、うまい日本酒も置いてある」
なぜかご機嫌な綾倉に続いて店に入った浅黄は、よりによって、天ぷらかと考えるだけで胃が重くなった。
綾倉が浅黄のために天ぷら屋を選んでくれたのは嬉しかったが、季節の野菜をなんとか2種類食べたところで箸が止まった。
日本酒を飲むペースも、いつもよりずっと遅かった。
「てんぷらは嫌いだったか?」
「嫌いじゃないけど食欲がなくて・・・。
藤原さんにも言ったけど、今日は体調が悪くて」
「ああ、聞いた。
どうせ仮病かと思ったが、酒が進まないところを見ると本当のようだな」
体調が悪いことは認めてくれたものの、藤原同様、綾倉もそのことには関心がないようだった。
綾倉から「飲め」と言われたら断れず、少し無理して飲んだせいか、いつもより少しの量で大分酔いが回っている気がした。
天ぷら屋を出てホテルの部屋に入ると、いつものように先にシャワーを浴びて、ベッドで待つように言われた。
ベッドで綾倉を待つ間、このまま寝てしまいたいと思ったが、許されるわけがなかった。
「今日の態度はなんだ」
ベッドに入った綾倉が言った。
「いつも、こんなもんだと思うけど」
「体調が悪いことをアピールするな。
そんなことは私に悟られないようにしろ」
「アピールなんてしてない」
「じゃあ、体調が悪くても、ちゃんと食事や酒の相手をしろ。
それがお前の役目だ」
浅黄にとっては、かなり無理して酒も付き合ったつもりだった。
天ぷらじゃなければ、もう少し、食べられたかもしれない。
本当はセックスだってしたくない。
そう心の中で反論していると、乱暴に顎をつかまれキスされた。
今まで何度もあったことだが、綾倉が自分を大事にしてくれてると感じた直後、こうやって、金で買われていることを思い出させられた。
着ているものを脱がされながら、体調が悪くても、「今日はしたくない」と言えない立場をかみしめていた。
「体調は関係なかったようだな」
熱が上がったのか、頭の中がボーっとしている不思議な感覚の中で行為が終わると、綾倉に見下されたようにそう言われ、浅黄は自分が情けなくなった。
本当は気乗りがしないと思っているのに無理矢理相手をさせられた結果、浅黄も行為を楽しんでいると、綾倉はそれを軽蔑するように指摘する。
綾倉のものになって最初の1週間、自分はゲイじゃないと言っておきながら、初めて声をあげてしまった時、キスをされただけで勃起してしまった時、綾倉は浅黄のプライドを踏みつけるためにそれを指摘した。
その後も、綾倉はそういう機会を逃さなかった。
だから、浅黄は綾倉に惹かれているのを認めたくなかった。
浅黄にとって、青山の存在が、ある意味救いだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 6