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〜♩♫♩♪
俺が頭を抱えていると、突然スマホが鳴った。
誰だろうと確認してみると、父さんからの連絡だった。
『健くんから事務所に来てると聞いたよ。父さんたちは社長室にいるから、用事が終わったらおいで。』
そういえば、もともとそれが目的で来たんだった…。
会うだけだったはずのあいつと、今日1日であんなことになっちゃって、どんな顔して父さんたちに会えばいいんだよ!
「あ〜〜っ!、もう!」
俺はこれ以上考えてもムダだと思い、頭をかきむしって1番上の階についたエレベーターから降りた。
ーーコンコン、
部屋の前について、ドアをノックする。
「悠莉です。」
「いいよ、入っておいで。」
父さんの言葉に俺はガチャ、とドアを開けて中に入った。
「そこに座りなさい。ココアでも飲むか?」
「うん、ありがとう。」
俺は、父さんのデスクの前に、互いに向かい合っている大きくてふかふかなソファーに腰掛けた。
母さんがココアを持って来てくれた。
あぁ、やっぱりこの空間は安心できる。
「みんなに会ってみて、どうだった?」
「……いい人たちだね。それに、ダンスもすごく上手だった。」
俺は母さんの問いに、色んなことを伏せて答える。
「…悠莉、今朝の父さんたちの話、考えてみてくれたか?」
「もちろん、そんなにすぐに答えを求めてるわけじゃないの。まだ、ゆっくり考えてくれても、」
「…でも、こんな俺が入ってもいいの?」
俺は母さんの言葉を遮って答えた。
「今日会ってみてね、この人たちと踊れたら、きっと楽しいんだろうなって思ったんだ。…でも、俺はΩだからさ、いくら薬で抑えられるといっても、3か月に1回はお休みを貰わなくちゃいけない。そんな俺は、きっとあの人たちのやりたいことの邪魔をしちゃうから、」
「…自分が入ることは彼らに迷惑だと言いたいのか?」
「っ、だってそうでしょう?俺は、」
仕事をする上で、3ヶ月に1回、1週間のお休みをもらうことは、やはり仕事に支障をきたしてしまう。
それに、さっきみたいに突然発情期を迎えてしまったら?
あの人たちの才能を間近で感じた上で、俺はずっと、こんな自分が入ったら、いつかどこかで、彼らの将来性を潰してしまうんじゃないか、そう考えてしまっていた。
「…ねぇ、悠莉、今日ね、武谷くんと沢田くんと岡本くんが私たちのところに来たの。」
…あの人達が?、なんで?
俺は困惑しながら、母さんの顔を見る。
「“もしかしたら花谿くんに嫌われたかもしれないけど、俺たちは、彼と一緒に仕事をしたいんです。”」
「……え?」
「そう伝えておいてくださいって。私たちには、あなたたちの間に何があったのかは分からないわ。でも少なくとも、彼らはあなたに入って欲しいと思ってる。」
……なんで、なんで俺のためにそんなにしてくれるの?
俺はきっとみんなの邪魔にしかならないんだよ?
なのにどうして…、
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