アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
43
-
倒れた次の日の朝、父さんと母さんに叱られた俺は、1日休みをもらってその次の日にはすっかり体調が良くなった。
「こんな時期に練習休んで、迷惑かけてしまって本当にごめんなさい!」
スタジオについてみんないるのを確認して、俺は頭を下げた。
「ゆうくん!もう大丈夫なの?俺、ゆうくんに会えなくて寂しかったよ〜!」
「こっちは全然大丈夫ですよ。それより、あんまり無理しすぎないでくださいね?」
「ったく、迷惑よりも、すげー心配したんだからな?」
みんなの言葉に、俺は一昨日の車でのあいつの言葉を思い出した。
自分がいくら頑張っても、それで迷惑をかけてたら意味がない。
今回のことで、改めてグループでの個人の責任の重さを感じた。
そのあとすぐこんちゃんが来て、練習が始まった。
いつも通り、柔軟や基礎練、曲通しなどをして、途中の昼休憩を迎えた。
俺も昼ごはんを食べようと思い、かばんを探っていると、
「ひ〜め!」
ドアの方から声が聞こえた。
「あ!拓真さん!」
パッと振り返ると、拓真さんがドアに寄りかかって俺に手を振っていた。
俺は拓真さんのところに走っていった。
「一昨日はありがとうございました。…こんなところまでどうしたんですか?」
「姫の体調が心配で会いに来ちゃった。」
「わざわざありがとうございます!昨日1日休ませてもらったんで、もう大丈夫です!」
…わざわざ見に来てくれるなんて、優しい人だなぁ。
昨日のお話も面白かったし、話しやすいし、いい人なんだなと思う。
「あ、そういえば今、駅前のケーキ屋さんのフルーツタルトもらったんだけど、姫タルト好き?」
「え、タルト大好きですけど、いいんですか?」
俺は甘いものには目がない。
2日に1回は絶対プリンを食べる。
それにフルーツタルトはケーキの中で1番大好きだ。
「俺、タルトは甘すぎて苦手なんだよね〜。姫が食べてくれたら助かる!」
「じゃあ、いただきます!」
「やった!ケーキ上にあるから、昼ごはんも兼ねて一緒に上で食べよっか。…祐樹の昔の話もしてあげるし♩」
「…はい!」
最後の一言は俺の耳元でものすごく小声でいった拓真さんが面白くて、俺も笑って返事をした。
俺はお弁当を持って、拓真さんと一緒に医務室に向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 78