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椿はそれこそ抱きしめられている事に何にも抵抗はしなかったが彼がしてくれていることは優しさであって決して自惚れてはいけないと自分の疎かな考えを否定した。
「なんで… 」と言葉を発したが無言でそっと椿から手を離された。
その事に少し残念と思ってしまった自分を椿は馬鹿だと思った。
「手、痛くなかったですか?」
と何1つ嫌な顔せず自分の心配をしてくれる彼をやっぱり好きだと改めて自覚してしまった。
むしろ罵倒されて嫌われたほうが楽だと思う自分と、そうされなかった事に安心している自分がいる。
それとも優しいだけか…
そんなに優しくされると勘違いをしそうになる。
だから椿は彼の目を見れずにいた。
この二人きりの無言の空間は決して嫌ではなかった。心は痛くて、苦しいけど身体はどこか満たされていた。
「椿っ!…と明弘…」突然荒息を吐きながら来た隼人にビックリしていると相沢明弘に触れていた手を離されて光岡隼人の方に引き寄せられた。
「明弘…」と少し怒りの感情をむき出しながら言う。
光岡隼人を見ると走って来たことがわかった。
そして光岡隼人が自分を本当に好きなんだと改めて思い知らされた。
「隼人さん…すみません…俺が悪いんです。」
と悲しそうに笑った椿が言う。
「…」「…」
相沢明弘と光岡隼人はお互い威圧的な目を向けあっている。
椿は自分が招いた事だと罪悪感を感じた。
何でこんな最低なことしたんだろう。
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