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人質①
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「なっ…………まさか、シリカに何かしたのか?」
「ん~…………ああ、君は確かナギっていうエルフだったね。シリカと同じく単純な君にしては珍しく勘が冴えてるね。実は、シリカとお似合いなんじゃないかな?」
知花がナギの動揺したような言葉を聞くと、また普段通りのおちゃらけた笑顔でナギの方を見つめながら言う。
すると、ナギはエルフ特有の白い雪のような肌をカアッと赤く染めて、どことなく照れたような表情を浮かべながら知花を睨み付ける。
「…………そ、そんな事よりも、シリカをどうしたのか、とっとと教えろ。」
「あれ~、第一王子のオレにそんな事を言ってもいいと思うのかな?まあ、いいや…………シリカはオレの仲間によって今頃、どこかにさらわれちゃったのかもね~。それと…………」
ふと、知花が顔を真っ赤にしながら言い放ってくるナギをスルーして、僕の方へと歩み寄ってくる。
「…………ごめんね、優太くん。君の大切な人を、人質として連れて行くね。想太くんを救いたかったら、オレを追いかけてきてね。きっと君なら……オレを…………」
「…………えっ!?」
知花は、何かを言いかけたがそこで言葉を切ってしまい、フッと笑った。
そして、先程からずっと気を失っていて僕から少しだけ離れた場所で横たわっている想太の体を抱えあげる知花。
「それじゃあ、またね。大切な人を救いたかったら、みんなでオレを追いかけてくるといいよ。」
「ちょっ…………ちょっと待ってよ……知花!!」
僕が想太を抱えあげた知花を引き止めようと手を伸ばしたのもむなしく、そのまま知花は、気を失っているままの想太と共にスウッと姿を消してしまった。
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