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新たな旅立ち Ⅳ
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その翌日、早朝に、
僕とヴィクトルはひっそりと長谷津を発つ、
つもりだった。
駅について、送ってくれた父さんにお礼を言う。
母さんと真利姉にも、ちゃんと挨拶してきた。
「勇利、ほんとにいいの?
家族以外には何も言わなくて。」
「うん。大丈夫。」
見送りになんて来てもらったら、
本当にここを離れられなくなりそうだから。
「なぁに、今更こっそり出ていこうとしてんのよ!」
「ぅわっ!ミナコ先生っ!?
それに、優ちゃんたちも…なんで?」
「あんたの母さんに聞いたのよ。
全く、挨拶くらいしていきなさいよね。」
「うん。ごめん…」
「謝れって言ってんじゃないのよ。
ほら言うことは?」
「行って、きます…っ」
「「行ってらっしゃい。」」
だから、来て欲しくなかったのに。
また、行きたくなくなるじゃないか。
溢れそうな涙をこらえて、
ミナコ先生達に背を向けて、
ヴィクトルと改札へ向かった。
「ヴィクトルー!勇利泣かせたら許さないからね!」
「ははっ、もちろんだよ。」
僕の後ろでミナコ先生達とヴィクトルが
何か話してたけど、耳に入らなかった。
最後に後ろを振り向いて、手を振ってくるみんなに、
手を振り返した。
僕はみんなのためにまた旅立つんだ。
今度の行先はロシア。
最後の1年で、世界と戦うために…
「よかったね。みんな来てくれて。」
「うん…」
「ほんとに勇利は泣き虫だなぁ。
仕方ないから、俺の肩貸してあげるよ。」
ヴィクトルの肩に寄りかかる。
ヴィクトルは、ずっと頭を撫でてくれていた。
その後、いろいろ電車や新幹線を乗り継いで、
成田空港…
約10時、僕とヴィクトルは日本を発った。
しばらく日本とはお別れだ。
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