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「シエル、そろそろ準備なさい。外へ出るわよ」
「はい、母様。」
ランベリク家の一人息子であり第一王子、
《シエル=ランベリク》
男にも関わらず絶世の美女と称される彼は、
世にも珍しい翠と紅のオッドアイをもち、丸くて大きな愛らしい目はまるで女の子のよう。
成長が伸び悩み、143cmと12歳としては小柄な体格。
錦糸のように細く、青みがかった黒髪がサラサラと風に揺れる。
声変わりもまだ迎えておらず、男の子にしては高めで透き通る声は国民も耳を傾けるほどだ。
そんなシエルは両親や国民に愛されて育ち、こうして時々母親と城下町へ出かけることもある。
「王妃様、シエル様、おはようございます」
「わ〜!シエル様、王妃様〜!!」
「王妃様、今季も身の詰まった作物が沢山採れましたの!」
王族が国民を愛し、そして国民が王族を愛す此処、メジエールは今日も笑顔で溢れていた。
ーーそう、笑顔で溢れていたはずだった。
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