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翌日、アルベールが地下牢を訪れた。
しかし扉を開けた瞬間、ウッと鼻をつく匂いが漂い、アルベールはシエルに目を向けた。
シエルの周りには吐瀉物が散乱していて、近づけるわけもなく、アルベールは隣の牢に入れていた奴隷の首輪を引き、シエルの牢に蹴り入れた。
「おい。そいつの周りを綺麗にしろ。1時間後にまた戻ってくる。いいな?」
「かしこまりました、ご主人様。」
アルベールが踵を返し去って行くまで頭を下げ、足音がなくなったのを確認してから、シエルの前に立つ女の奴隷は四つん這いになり、シエルの吐瀉物が散乱した石の床を舐め出した。
嫌悪感を表情に全く出さず、奴隷はペロペロと床を舐め回し、シエルは絶句してその奴隷を凝視した。
身を売られた奴隷たちはこんな酷いことを強いられているのか。
生きていることに諦めたような、真っ黒で輝きのない奴隷の瞳を見て、シエルは自分もこれからこうなってしまうのかと絶望した。
「う、わぁ!?なに?!」
「お体も汚れておりますので綺麗にさせていただきます」
女の奴隷はシエルの体に舌を這わせ、体に飛び散った吐瀉物まで綺麗に舐めとった。
全ての吐瀉物を舐め終えた奴隷はまた四つん這いになり、扉の方向を向いて静止した。
シエルは話しかけていいものかと迷いながら奴隷に声をかけた。
「君はいつからここにいるの?」
「もう1年ほどでしょうか…」
「名前は?」
「名前はありません。ここではゴミ箱として扱われておりますので。」
「逃げようと思ったことはないの…?」
「ないですね。逃げようとした奴隷が首を切られて殺されるのを何度も目にしていますから」
奴隷の口から淡々と語られる衝撃的な事柄に、シエルは言葉を失ってしまった。
そして、キィ…と鉄でできた扉が開き、アルベールが姿を現すと同時に奴隷が壁際に吹っ飛んだ。
「シエルに必要のないことを吹き込むな。死にたいか?」
アルベールはその目だけで人を殺せるんじゃないかというくらい鋭い視線で奴隷を睨んだ。
そして一歩、一歩と奴隷に近づき、靴の先で奴隷の顎を蹴り上げた。
「自分の部屋へ戻れ。」
「申し訳ありませんでした。失礼します」
奴隷が部屋を出て行ったのを確認して、アルベールはシエルへと視線を移した。
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