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そして俺は20歳になり、正式にティエンヌの王となった。
2年経ってもシエルは見つからず、やはり幼い彼は絶望や飢餓で死んでしまったのかもしれないと肩を落とした。
「エルヴィド様、そろそろ出発なさらないと…」
元奴隷である使用人が声をかけてきた。
今日は100回目記念のヒューマンオークションだ。
俺はマリアさんに似た奴隷を見つけるたびに多額を積んででも競り落とし、そして帰国してからティエンヌの住民として解放している。
もちろんここで仕えたいという子は今でも使用人として働いてくれているのだが…。
マリアさんに似た女性を他の男に渡したくなかった。
奴隷なんか、そんな穢らわしい名称を与えたくなかった。
ただのエゴだと言われるかもしれない。
それでも俺はマリアさんが死んだって、彼女のことを忘れられずにそんな行為を続けていた。
度々オークションで美人な奴隷を買い占めることから、俺はチャラくて女好きやら、俺の城は性奴隷で溢れているやらと、他国では俺の根も葉もない噂で溢れかえっている。
噂を否定するのが面倒で話し方もヘラヘラとした気だるい感じにしているが、英才教育を受けてきているため、実際は割と温厚な話し方だと思う。
今更直す気はないのだが……。
そして向かったオークション会場。
一番最初に紹介されたのはマリアさんとは違う感じの奴隷だった。
けれど、出来れば自由にしてあげたいと、持ってきていた3割程度の金額を提示して彼女を競り落とした。
しかし最後に紹介されたのは俺の探し求めた、かつて愛した彼女の息子であるシエルだった。
ありえない。
そんなことがあるのか?
信じることができなくて、目の前に運ばれてきた少年をまじまじと見つめると、宝石のようだと称されたオッドアイ、そして何よりも顔の作りがマリアさんにそっくりだった。
シエルで間違いないと、まだ手持ちに残っている1億5千万強、全てつぎ込もうと番号札を手に握ったが、それはある第一声に打ち砕かれた。
ヴィクトリアだ。
奴は10億という信じられない金額を提示して会場を去った。
俺はシエルを助けられなかった悔しさに唇を噛み、シエルを取り返すべく計画を立てて行動に移したのだった。
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