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いつもなら感じない胸元にある温かみに、アルベールはうっすらと目を開いた。
自分に寄り添ってシエルが一定のリズムで寝息を立てながら眠っている。
そういえば一緒に寝たんだったなと、シエルにされた目隠しを外すと、気持ちよさそうに微笑んだ顔が見れた。
目隠しをもう一度付け直してやり、時間を確認して、そろそろ動かなくてはとアルベールはベッドから立ち上がった。
「ぅぅ……」
「おい…」
離れようとすると、寝惚けているのかシエルはアルベールの服の裾をぎゅっと掴んで離さなかった。
その時何処からともなく、「グギュルルゥゥ」とお腹の鳴る音が聞こえ、アルベールとシエルは言葉を失った。
「今の……なに?」
「おまえだろ」
「僕……?」
「昨日何も食ってないんだろ。朝食用意してやるからここで待ってろ」
アルベールは裾を握っていたシエルの手を離させ、部屋を出ていった。
シエルは自分で目隠しを外し、きらきらと射す朝の日差しに目を細めた。
ベッドにはほんの僅かだがアルベールの熱が残っており、シエルはそれに縋るようにシーツを撫でた。
アルベールに添い寝してもらうなんて片手で数えられるほどしかなくて、久しぶりに優しくしてもらっている現実がどうにも信じられず、夢見心地であった。
まだ朝と夜は冷たい風が吹き、一糸纏わぬシエルは寒さに身を震わせ、布団にクルクルと身を包んだ。
その時、先ほど部屋を出て行ったアルベールがお盆を持って部屋に戻ってきて、アルベールを視界に入れたシエルはまた硬直し、ガタガタと歯を鳴らした。
「なんで目隠しを外す?怖いくせに、馬鹿なのか?」
アルベールは呆れたように目隠しを拾い、シエルの目元にくくりつける。
シエルは『怖くない』と言いたかったのだが、どうにも上手く口が開かずにされるがままになってしまった。
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