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昨日優しくしたつもりであったが、朝からまだ拒絶反応を見せるシエルにアルベールは気を落としていた。
加えて先ほどバルトから嫌な伝言を受けた。
エルヴィドがまた此処に来るらしい。
要件は同盟の再結束の申し出らしいが、一度裏切り行為をしてそんなことできると思っているのだろうか。
何が起こってもいいように、応接室にはバルトを連れて行き、さらに応接室の外には選りすぐりの兵士を配置した。
そろそろ約束の時間だ。
応接室の扉が開くとともにアルベールはソファから腰を上げた。
「先日は悪いことをしたね、ヴィクトリア」
扉の先から現れたのは紛れもなくエルヴィドで、今日は奴隷も連れておらず一人だった。
「悪いなんて思っちゃいないんだろう?」
「まさか。あの時はそうは思っていなかったけど、今じゃ少し後悔してるよ。君はシエルの大切な人のようだから…」
「大切……?」
「お……っと。まだシエルは言ってないのかな?俺とシエルの秘密だよ」
「てめぇ…。ふざけてんじゃねぇぞ」
「ちょ…、落ち着いてよ」
エルヴィドは眼光だけで人を殺してしまいそうなほど殺気立つアルベールを制して周りに目を向けた。
「ねぇ、ヴィクトリア。少しシエルの話をしたい。絶対に俺は君に手を出さないから、一度そこにいる使用人も退室させてくれないかな?」
「クライトマン皇帝、私は……」
「いい、バルト。下がってろ」
「………畏まりました」
バルトは部屋に残ることを主張しようとしたが、アルベールに命令された以上逆らえずに部屋の外へと出て行った。
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