アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
始まり 3
-
H side
俺は中学から高校にかけて、ずっといじめを受けてきた。
ビリビリに破かれていない教科書なんか無かったし、制服も何度ボロボロにされ買い換えたか。体育館倉庫に閉じ込められた時のあの苦しくなるような冷たさもよく知っていた。
高校になっても終わらなかったんだ。
廊下の隅でいつも泣いていたと思う。皆帰ったあとの淋しげな廊下は一段と冷たかった。
だがいつの日だったか、手を差しのべてくれた人がいた。
それがフジ達だった。
久しぶりに会った幼なじみだったこーすけも、いつも俺の隣にいてくれたし、キヨはいじめっ子たちについて会議するよう先生にめっちゃ頼んでた。フジは泣きたい時、いつも胸を貸してくれた。
フジはこのショッピングモールに来たときの記憶が無いらしく、『奴ら』の存在を知らない。
奴らに噛まれると感染する、という恐怖。そのことはフジに言うべきなのだろうか。
俺は奴らから皆を守る。俺ばっかり助けられてるのってなんか嫌だから。
「ぜったい、生きて帰る」
今日も朝が来る。
...昨日の夜も泣いてしまったらしい。目が腫れてる。
「ふじ...いっしょにかえりたい...」
泣くつもりなんか、ないはずだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 12