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駆け落ち
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からん、ころん
何処かで下駄の鳴る音がする
綺麗な音では決してない
下駄が鳴る音は早く、まるで何かから逃げている様に慌てている
もう、次に外から聞こえる音は予想出来ていた
「おい!駆け落ちだ!捕まえろ!」
ああ、やっぱり
外から聞こえるのは耳を劈く様な甲高い声
ばたばたと四、五人が走る音
そしてー
「…外が騒がしいね」
不機嫌そうな低い声の方に向く
今日のお客人が閉じていた瞼をゆっくりと開けた
「ああごめんね、起きちゃった?」
吸っていた煙管を小鉢に軽く叩くとかんっと音を立てて灰が落ちた
官能的にゆるりと口角を上げ、お客人と目を合わせる
そして薄い唇を煙管の口に付け、煙を吸い込んだ。
あゝ、客人が起きてしまった…。
だから駆け落ちは迷惑なんだ
心の中の苛々を消す様に、表に出さぬ様にゆっくりと目を伏せて煙管の煙と共に吐き出した。
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