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2-3 幸せにしたい side 倭人
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目がくりくりした垂れ目のせいか。
50歳近くなっても、30代で通る父さん。
ポーカーフェイスとは無縁の人だから、機嫌がとても悪いことは伝わってくる。
光によっては、紫色に見える黒目がちの瞳で母さんを睨みつけたまま。
Tシャツにズボンのラフな格好で。
行儀悪く、椅子に座ったまま片足を立て。
わざと音をたてて、紅茶を飲み始めていた。
行儀が悪いと、いつもなら注意する母さんに向かって、わざとだよな。
母さんは、相変わらず隙が無いほど髪の毛一本までピッチリとセットしたスーツ姿。
父さんを視界に入れながらも、無視。
ナフキンで口元を拭うと、察した使用人が即引きに来た椅子から立ち上がる。
「ご馳走様、皆もゆっくりしすぎないようにね・・・
倭人、今日は19時以降に帰ってくるように」
切れ長の瞳で、座っていた家族を順になぞり。
最後に俺と目が合い、思い出したように。
でも、有無を言わせない口調で。
急な条件を言いつけられる。
「あ、ハイ」
機嫌が良いままなら、良いままでいてほしい。
俺は、軽く頷き了承した。
それに満足し、軽く頷くと。
母さんは、まだ食べている途中の姉貴の椅子の背を軽く叩いた。
「飛鳥、一緒に会社に行きますよ」
「・・・ハイ」
溜息をつきながら、飲んでいたティーカップを戻す姉貴。
顔、青ざめてるし。
調子でも悪いのか・・・?
二人が連れ添って、部屋を出た途端。
「あ”-------------っ」
父さんが絶叫し、母さんの座っていた椅子を蹴飛ばした。
アンティークの樫の木製、一客だけで百万近い。
かなり重厚だから、斜めに移動する程度。
倒れることは無いけど、逆に足が痛いだろう。
直情型の父さんは、母さんにすぐに噛み付く。
今日は珍しく抑えていたけど、抑え切るには足らなかったらしい。
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