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3-5 お花畑
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初めて発情が来たのは3ヶ月前。
ちょうど休日で家にいたから、身内以外に知られることはなかった。
すぐに携帯していた抑制剤を使ったとはいえ。
あのときの、身体が内側から蕩けていくような甘い感覚は今でも忘れられない。
Ωの本能に乗っ取られ、自分が自分で制御できない。
その不安定さに、不安や戸惑いより。
身を任せたいと、思ってしまう自分に目眩がした。
Ωは、Ωにしかなれない。
どこかで、まだ。
無意識に。
決められたαの番にならなくていい道を、模索していた自分。
それが、完全に消えた瞬間だった。
「・・・本当に今まで、ありがとうございました」
昼食後の、人払いされた屋敷の前。
車に乗り込む前に、深々と屋敷に向かって頭を下げる。
物陰に隠れて見送ってくれる使用人。
生まれ育った屋敷。
それぞれへ、心からの感謝を込めて。
母を残し、父と二人。
無言のまま桜宮の門を出た。
たった今から、俺はΩとして生きていく。
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