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にんげん
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「俺はにんげんだって言ってんだろっっ!!!!!!!!!!」
俺はそう叫んで飛び起きたらしい。
起きた途端、汗が滝のように流れる感覚。
何が起こった?
俺の周りを見るとやはり生えたままのコード。
こいつはいつまでも気ままに動いている。
腹が立つ。
「ね、ねえ…大丈夫…?」
あ、
ああ。
そういや俺、ぶっ倒れたんだっけ。
「おう、大丈夫。ありがとな。」
俺は平然を装ってフジに感謝する。
だけど飛び起きた場所はぶっ倒れたであろう場所のままだった。
俺に触ると電気が流れたから、思うままに運べなかったのだろう。当たり前だ。
「うん…?そのコードのことも本当だって分かった、し、キヨに電気が流れてるってことも、分かった…」
フジはとても言いづらそうな顔で俺に言った。
もう俺は、誰にも触れない。
もう俺は、誰にも触られない。
人と繋がれない。
そう考えるとまた頭がパンクしそうなので、このことを考えるのはやめておくことにしよう。
「迷惑かけて、ごめんな…?」
俺はまた、平然として謝った。
これは本心だ。
勝手にぶっ倒れて、勝手に夢にうなされて、勝手に起き上がったのだ。
申し訳ない。俺のせいだ。
「いや、全然、大丈夫…」
フジは動揺しているようだった。そりゃあそうだ。申し訳ない。
「そういやヒラは?」
あいつが来ていないことに今更ながら気付き、フジに尋ねる。
「あ、一応、今日はなくなったって連絡した…けど大丈夫かな…?」
「おう、そうしてくれた方が有難い。せんきゅな。」
「うん…もう大丈夫そう?」
大丈夫じゃない。
「あー、大丈夫だわ。突然ぶっ倒れてすまんな〜。」
大丈夫じゃないわ。
「そう…?何かあったら連絡してね?」
「ん、せんきゅ」
待って、
「ごめんね…編集しないといけないから帰るわ…」
待って、ね、え、
「おうよ、ごめんなマジで!また連絡するわ!」
ねえ、ねえ、
「ん、わかった。じゃあね」
ドアに手をかけて、
ドアを開けて、
ドアの向こうに、
フジは行っちゃって、
フジが見えないであろうところに行けば、
俺は無意識に手を伸ばしていて、
カッスカスの声で俺は呟いた。
「助けてよ」
助けてくれるはずなんてないから、分かってる、分かってる。
1人でなんとかしなきゃいけない。
とりあえず、このコードをどうにかしなきゃ。
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