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「……猛の話って一度もしていませんよね?」圭吾は首を傾げた。「どうして知っているんです?」
「ああ、ええと、ふふふ。これ、内緒よ? 言わないでって猛君から何度もお願いされたから」立山は苦笑した。「彼の職場。美容室はね、わたしの行きつけなの。バイトを探していないですか、って尋ねられてね。タイミングがよくてびっくりしたわ。ちょうど探していたのって話をしたら、圭吾君のことを紹介してくれたのよ」
「じゃあ、すんなり採用してくれたのって、つまり……」
圭吾が顔を曇らせると、立山は慌てたように首を振った。
「ああっ、猛君の紹介だからって、誰でも構わなかったわけではないの。あなたの雰囲気とかね、立ち振る舞いと、少しお話をしてみて採用を決めたのよ。そこは間違わないでね」
じっと目を見つめられ、圭吾は頷く。
立山が安心したように微笑んだ。
「それに猛君はあなたのことを、バイトするかどうかわからないって言っていたわ。だから、このお店を選んだのはあなた自身だし、そんなあなたを採用したのはわたしの判断。そして、この話は内緒よ? 彼から怒られてしまうもの」
「猛は怒らないと思いますけれど?」
圭吾はきょとん、とした。喜怒哀楽の、怒だけをどこかに落としてきたような彼が、怒る姿なんて想像もつかない。
「そう? きっと、圭吾君にだけそうなのね」立山は忍び笑いを漏らすと、チラシへ視線を落とす。「明日はちょうど休みだし、お祭り楽しんできて」
そうまで言われたら行かずにおられない。圭吾は頷いた。
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