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図書室
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「まーこーと!ちょっときてっ」
「んー?」
「いいからっはやくっ!部長から伝言預かってるんだから」
ポリポリ頭をかきながら小教室のドアへ向かう雨宮。
ヘラヘラ笑いやがって媚うってんなよ。
誰あれ、バスケ部のマネージャー?
すげー可愛いね。しかも二人が並ぶとすごい絵になる。
ぼけって眺めてたら、しばらく言葉を交わしあってた二人がカラカラ笑いだした。
なんか、素で、笑ってる感じ。楽しそう。いいな、いや、あんな美人と話せてる雨宮がいいなってことネ
でもマネさん。そのひと、男にちゅーするんですよ。しかもふっっかい、ディープなやつ。止めときな、って食われちゃうよ。その笑顔にだまされちゃだめだよ。ね、止めときなさいね、奥さん。
テンションが上がったのかよく分かんないけどマネさんがふざけて雨宮の腕に一回抱きついて、じゃあ部活でね、ってウィンクしながら去っていった
周りにいた友達達が雨宮のもとへ近寄っていく。
俺らのグループ?のいつも中心にいる木梨祐一(きなし ゆういち)が ヒューヒュー言って冷やかすのにみんながのっかる。悪ノリしすぎだし。木梨は楽しいこと大好きで、顔面いかついんだけど結構気が使える良い奴だ。外見で誤解されやすいタイプかな、いっつもそれにのっかって爆笑する俺だけど、
なんだかムカムカしてくる。
「なになに~?随分仲いいじゃん、あれ、松下さんだろー?美人で有名な!・・・マネージャーと部員だけの関係には見えないな~なになに、もう手、だしちゃったの?」
「ええ~?あはは!まあ、他の女子よりは仲良いかも、な」
なにその意味深な感じ!!!って叫びながら木梨が笑ってる。
なんだそれ、
どうにもこうにも笑えなくて、俺はトイレに逃げた。
はーなんでこんな苛つくんだ。ていうか俺に手だしといて、あの子にもなんかしてんの?王子、サイテー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・・・ってことがあったんだよ!!!」
俺はバンバンと机を叩きながら、前でほおづえを付きながら話を聞いてくれてる先輩に抗議した。
「・・・ふーん?」
「まじで腹立つ!!あいつ絶対王子じゃないよ!!エセ王子だ!!庶民の心を弄んでるんだ!!!」
「庶民て・・!!!」
「笑ってる場合じゃないよ堀さん。俺は怒ってるんだから!!」
今は放課後の図書室。で、肩を震わせて笑ってるこのひとは一個上の先輩で図書委員の人、堀(ほり)さん。下の名前は知らない。俺が雨宮の帰りを待つために図書館に通ってる時に何度か会ってて、あるとき借りたい本の場所を聞くために声かけたら、そっから会話が弾んじまって、今では相談から愚痴までする仲だ。主に雨宮の。だって他の奴の話はとりあえず雨宮に話すから。ちょっと変わってる人で敬語と先輩はつけないで、っていうからタメ語とさん付けで話してる。
今も帰ろうとした俺の腕を掴んで、「今日、帰り待っててくれるんだよね。」って念をおしてくる雨宮に昨日待っててやるから、って公言したことを思い出して、それを大人しく待ってる最中だ。真面目だろ?一回口にしたことは守りたい性分だ。
今日まともに話してないのに、帰りは一緒に帰りたがるなんて変な奴。
それで、ついでに昨日の玄関先のキス衝動から今朝方の教室でのことを愚痴っていたとこ。
「・・それで?なんで建斗が、怒るの?」
「え?だって俺に散々ちゅーしといて女の子にも手だしてる、みたいなこと言ってたんだよ?女の子、可哀想じゃん!」
「それは、その時の雰囲気とかでわざと含ませて言ったかもしれないじゃない」
「いや~どうなんだか」
「なに、女遊び、激しい子なの?」
「え・・・それはない、と思う。」
あいつの日頃を思い出してると、雨宮が何かしているというより、女の子の方が勝手に寄ってきて勝手に絡んでる感じだ。来る者拒まずって感じじゃんあいつ。去る者も追わないけど
「じゃあ、なんだ。雨宮クンにべたべた絡んでたその女の子に、嫉妬してたんだ?」
ちょっと肩をすくめて、やれやれって感じでため息を吐かれた。
「・・は?!いやいや!!え?なんでそうなんの・・俺ホモじゃないし!」
「ホモとかじゃなくて。俺はここで聞いてた話しか分からないから、実際はどうなのか・・とか見てないからアレだけど。男が・・とか女が・・・とかじゃなくて雨宮クンっていう存在が好きなんでしょ?建斗は。俺にいつも雨宮クンの話するとき、すごく楽しそうだよ?」
ふふって笑う堀さんはどこかやっぱり大人っぽい。
性別とか関係なく、雨宮が・・・・・。うん、それはそうだろ。たぶん。でも・・
「でも、それは・・・」
「友達として、好き、ってこと?」
「そうでしょ、普通に考えて。」
「じゃあ、普通に考えるのやめてみたら?」
・・・堀さんはいつもこう・・。言葉遊びみたいをしてるみたいに、ものを話す。
「普通に考えるのやめるって・・・」
「だから、逆に考えて、どんな気持ちだったら友達じゃなくて、恋愛対象として好きなのか。」
「俺に、雨宮のことが恋愛対象として好き、って言わせたいの・・?」
「ん?ふふ、そういうわけじゃなかったんだけど、なんていうか。彼が不憫で」
「・・はあ?堀さんはいっつも言うことが難しいんだよな・・・恋愛対象として、っていうのは・・どういう・・こと、ねえ・・」
「友達と恋人とやることの違い、でもいいよ。」
「ああ、それは、あれじゃん。手つないだりとか抱きしめたりとかキスとか・・・・そういう系統のことをやるのが恋人、でしょ?」
「・・そうだね。でもその中の抱きしめたりとかキスとか、は。昨日雨宮クンともやってたじゃない。」
ふと昨日を思い出してカッって頬が赤くなった。
「や、それは・・その。そうだけど・・」
「・・・その時は、どうだった・・?嫌だったの?」
「・・・嫌とかそういうのの前に、頭がついていってなくて、そんなこと考える余裕は・・」
「じゃあ建斗は、いきなり・・・そうだな。ちょっとこっちおいで。」
なんだ?手招きされて図書室の奥にある資料系の本棚の方へ連れて行かれた。ここらへんは授業で使う以外あんまり来ないよな・・・。資料を眺めながら堀さんの後ろについて歩くと、急に立ち止まった堀さんの背中に激突してしまった。
「ってえ・・堀さん、ごめ・・・・え?」
ぶつけた鼻をさすってたら堀さんがくるって振り向いて俺のことを抱きしめ・・た。
え?え?え?なんだどうしたらこうなる、ていうか昨日から俺抱きしめられすぎ、どんだけ隙だらけなんだ、しっかりしろ俺!ぎゅっとされてた腕がちょっと緩まって、堀さんの顔が近づいて・・・は?なしなしなしでしょ!!なんなのっ?デジャブ?昨日もなんかこんな・・・光景をみたような、でも、相手は違う。そう、違う。この人は、チガウ。
バッと下に顔を向けて腕を二人のあいだでつっぱる。
「・・あの、やめて、ください」
おそるおそる上を向くと、口を抑えて体を震わせて笑ってるであろう、目の前の先輩。
ようやく意図に気づいた俺は恥ずかしくなって先輩の脛をガンって蹴った。
「いってえええええ!!!おい、建斗!!俺、一応先輩なのに!!」
「知るかっ!!同期みたいに話していいっつたのあんたでしょう?!・・・てか堀さん性格わるっ!!!こんなことしなくたって・・・」
「こういうことしなくちゃ、お前は気づかないの!にぶちんだからね~」
とかいって俺の頭をガシガシ撫でてきた。
ようするに、俺の時は拒絶出来るのに、雨宮には触れるのを、許した。って言いたいんだろ?
「ちょ!堀さ・・ん・・髪くずれる!」
「もとから結構くずれてたよお前が怒って暴れてたから・・・あ、噂をすれば王子じゃん。」
バッ前を向いたら、さっきまで俺らが座ってた場所においてある俺の荷物を眺めて、困ってた雨宮は俺らに気づいて一瞬安心した顔したと思ったら、今度はしかめっ面になった
「・・あーあ。上手くフォローしとけよ?」
って小声でぼそってつぶやいて堀さんは委員が使う庶務室へ戻っていった。
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