アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〇月×日『酔い酔われ』★
-
朝、目を覚ますと知らない場所にいた。
……問題はそこじゃない。
いや、知らない場所なのも問題だけど、それより大きな問題が……、
隣に誰か寝てる。
軽く息を飲んで、無言で体を起こす。
まずは落ち着かなければいけない。
分かってるのに胸がバクバク音を立て出すし、冷や汗は出てくる。
過去に酒に飲まれて、記憶にないセックスをしたことがある。
その一度の過ちで大好きだった人を失った。
だから成人してから今まで酒に手をつけたことは一度だってなかった。
それなのにこの状況は……
記憶を必死に探る。
確か昨夜は会社の新人歓迎会だった。
入社したのはそこそこ名の知れた企業だったものだから盛大な飲み会だった。
違う部署も合同で酒盛り。
全く初対面の人間に酒を注いで回って、上司や先輩の手前飲まないわけにも行かず酒を口にしたのは覚えてる。
飲んで、飲んで、飲まされて、その時はただただ気持ちがよかった。
店を出た時は誰かに担がれてた。
同僚に冷やかされながら店を後にして、その誰かが僕を介抱してくれた。
ベッドの感触を背中に、水を飲まされ、苦しいと訴えれば服を脱がせてくれて、僕はその手が……僕に触れたその手が気持ちよくて、離れていくのが嫌で、握りしめて……
その後は、あれだ……
間違いなくこの隣で眠ってる人と致してしまったわけだ。
曖昧な記憶とは別で、肌に感触が残ってる。
首筋や、胸、太もも……
大きな手と、形のいい薄い唇が触れた。
後悔に襲われながらも、とんでもなく大胆なことをしてしまった自分に赤面する。
横で眠るその人は、枕に顔を押し付けてうつ伏せ状態で寝ていて誰なのか確認ができない。
それでも背中や、腕、布団からはみ出した脚で、間違いなく男性だということはわかった。
矢野昂平と付き合った辺りから自分の性癖が変わりつつある自覚はあったが、酒に酔って男を誘うなんて想像もしなかった。
この状況、どうしたものか……。
脱ぎ散らかされた服や、ゴミ箱の側に落ちたコンドーム。
あまりに生々しい……。
幸い男は寝ているんだし、こっそり帰れば無かったことにできるかもしれない。
お互い酒が入っていたし、夢だった!と片付けられるならそうしたい。
善は急げ、布団からゆっくり出て、落ちてる服を拾う。
軋む体に鞭を打ち、服を身につけて証拠隠滅のためにゴミ箱を除いて目眩がした。
ゴミ箱の側に2つ、中にも…………複数の使用済みコンドームを目の当たりにして愕然とした。
本当にこれだけの数抱き合ったのかと思うと頭がクラクラする。
昂平とだってこんなにしたことは無かった。
むしろ…………いや、そんなこと今は考えてる暇はない。
片付けて、部屋を出なくちゃいけない。
恐る恐るゴミ箱に手を伸ばす。
「それ、どうするの?」
頭上から問いかけられて、硬直した。
しまった、手遅れだ。
僕が動揺してる間に寝ていた男は目を覚ましてしまったらしい。
「……す、……すいませ……僕…」
とにかく謝らなくてはいけない。
酒に酔って介抱させた挙句、こんなことになってしまって申し訳ないって、謝らなくては……。
恐る恐る顔を上げると、男と目が合った。
「……ぁ……一条さ…」
その男、名は一条寿志。
うちの会社の人間なら誰もが知ってる営業部のエースだ。
「山梨てさ、見かけによらず激しいのな」
彼が微笑めば誰もが息を呑む。
その爽やかな笑顔に酔う。
とんでもない人と一夜を過ごしてしまったみたいだ。
○月×日『一夜』
酔っ払いをベッドに寝かせて一息つく。
気持ちよさそうに眠るこの男、製造部の新入社員、山梨蘭だ。
うちの営業部の女性社員が可愛いのが入ったって噂していたのを覚えてる。
まぁ、言われてみれば綺麗な顔してる。
製造部の部長に新人だと紹介された時、今は閉じてる瞳…………綺麗な栗色で、印象に残ってる。
「……ん、先輩……」
先輩?
寝言か。
「…………せんぱ……」
1粒、涙が山梨の頬を伝った。
それが凄く綺麗だった。
ただの酔っぱらいが眠り姫に変わった瞬間か。
「……ぅ、」
見入っていると山梨が小さく呻いた。
苦しそうに顔を歪める。
「水飲むか?」
返事は返ってこなかったが、ミネラルウォーターを口に近づけると山梨は少しだけ飲んだ。
だが依然苦しそうだ。
仕方なく山梨の服を脱がせてやる。
Tシャツを脱がせ、ズボンのベルトに手をかけると、山梨の手が俺の手に重なる。
男のくせに、真っ白くて柔らかい手だった。
「……先輩……」
閉じていた瞳が開いて、栗色の瞳が長い睫毛の間からのぞく。
泣いたせいか、瞳が潤んでいて綺麗だ。
それに見とれているうちに、山梨が近づいてきて重なるだけのキスをされた。
「ん、せ……ぱい」
山梨のズボンのベルトにかけて止めていた手を、再開させた。
ズボンを脱がすのも面倒で、山梨の片脚だけズボンから引き抜いた。
下着の間から手を突っ込んで山梨のソコを解す。
「は、ぁ……あぅんっ」
山梨は気持ちよさそうに腰を揺らす。
それにしても、なんでこんなに柔らかいのか。
指はすんなりと受け入れられ、肉が絡みついてくる。
この体は男を知ってるのか……?
だが今はそんなことはどうでもいい。
それなら話は早いと、コンドームを取り出して自身に被せると、山梨の中に突き刺した。
「あっ、……ひ、ぅぅ」
山梨が俺にしがみついてくる。
一方俺は、山梨の体内の熱にイかされそうになる。
……いや、早すぎだろう。
なんとか堪えて、山梨の絡みつみいてくる肉の狭間で自身の出し入れを開始した。
「んぅっ、ぁ……先輩っ、」
俺の腰に脚を絡ませながら、山梨は腰をうねらせる。
さっきから"先輩"と連呼しているが、俺のことではないのは間違いない。
社内のやつか?
いや、入社したばかりだ、学生時代の誰かか。
俺が抱いてる山梨は"先輩"とやらに抱かれてるつもりなんだろうか。
酔っ払って人に介抱させた挙句、誘っておいていい度胸だ。
「っ、ふぅ」
抜いて、捨てて、また付けて、挿れる。
それを何回も繰り返す。
焦りすぎて下着も脱がせず挿入してしまったために動きづらい。
だが今更脱がせてる余裕もないほど興奮していた。
その後山梨の意識があるまでヤり続けた。
シャワーを浴びて、ぐったり寝入る山梨の隣に寝転んだ。
何事も無かったみたいに、間抜けな面してる山梨の顔を見てるうちに自分も眠くなってきて明かりを落とした。
山梨蘭、目が覚めたらどうする気だろうか。
慌てふためく山梨を想像して笑えた。
明日が楽しみだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 16