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氷上の踊り子
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会場に響き渡る、盛大な拍手と歓声。
氷の上にたたずむ青年が、美しい動作で氷に膝をつき、うつむくと、静寂が訪れる。
固唾を呑んで観客が見守る中、ショパン作曲「大洋のエチュード」が流れ始めたのとともに、青年は滑りだした。
ひとつひとつのジャンプの見事さ、スケーティングの速さはもちろんのこと、バレー経験を感じさせる丁寧な仕草が美しいが、その青年には、努力だけでは得られない、
天性の華と存在感があった。
大海原の躍動と小々波の音楽にのって、青年は氷上という舞台で踊っている。
高御堂 知章は、晴れやかな群青色の衣装を纏った青年から目を離すことができなかった。
フィナーレにむけて、加速を始める音楽とともに、知章の心臓も拍動してゆく。
青年が踊り子としての役目を終え、観客の拍手喝采を浴びているとき、知章は、胸の高鳴りの正体を自覚した。
知章は、美しい踊り子に、一目惚れをしたのだった。
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