アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
抱きしめた腕の中、早かった鼓動がやっと収まってくる。
なんでこんな風になってしまったのか。
それは今は聞けないんだろうな。
「なー羽白。俺、しばらく別室だってさ。授業とか受けらんないの。」
「それ大丈夫…?」
「慣れてるから別にいいんだけどさぁ。ずーっと反省文書いてんの、意味無いよね。それでちょっと羽白にお願いがあるんだけど。」
「お願い?」
体を離して羽白の手を握る。
少しは責任があるわけだし、これくらい協力しといてもらわないと。
「な、謹慎中のノート写させて。俺の友達あんなんばっかだからノートちゃんとかいてるやついないんだよなぁ。」
「別にそれくらいならいいけど。意外だ、てっきり勉強なんてしないタイプだと思ってた。」
「だーから。見た目で判断するのやめた方がいいって。俺こう見えてもクラスで上位なんだけど。」
「え、嘘…」
なんて失礼なやつだ。
呆然とする羽白の顔が面白くて笑ってるとスピーカーからチャイムの音が聞こえてくる。
…すっかり忘れてた、もう放課後だったか。
「そろそろ帰らないとだな。送ってく。」
「いや、そんなの悪いし…」
「そんなとこで遠慮してどうすんだよ。送り迎えくらいしてやるって。家どっち?」
「南町の方。」
「あーなら方向一緒じゃん。ほら起きて起きて。くらくなる前に帰んないとおとーさんおかーさん心配するしさぁ。」
リュックを背負って羽白へ目を向ける。
どこか遠くを見つめたまま「そうだな」と返事をすると、同じように準備を始める。
こうやって普通に話してたら前と同じなのに。
よっぽどひどい出来事でもあったのか?
考えたってわかるわけがない。
今は、今できることだけ。
「そうだ。目、治った?」
「あー…まだ。」
「…そう。」
駅の階段から落ちたっての…関係あんのかなぁ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 426