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枯れた希望
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家族は父親、母親、3つ上の兄貴。
父親と母親は10つ違いで母親はまだ若い。
だからなんでも父親のいいなりだ。
教育熱心な父親は小さい頃から俺と兄貴に片っ端から習い事をさせたし遊びに行ったことなんて一度もなかった。
塾、くもん、英語、そろばん。
俺だってそれなりには出来ていたけど器用な兄貴に比べるとデキは悪かった。
その度に
「出来損ない、お前はいらない。」
と怒鳴りつけられ何度も殴られた。
その度に必死に死にものぐるいでやるんだけど人間の限界ってのがあって。
勉強が追いつかないと寝させてもらえない、夕飯も自由も何も無かった。
「…ずっと、中学までガリ勉みたいなのでさぁ。休み時間まで参考書読んでた。」
「それ、虐待じゃ…」
「んー…勉強出来ない俺が悪いかったしさぁ。睡眠不足でフッラフラでもあの人容赦ないし。それが当たり前だと思ってた。」
それに一番辛かったのは兄貴と比べられることだったかもしれない。
頭も運動も何もかも1番だった兄貴、見た目も俺と比べものにならないくらい格好よかった。
こんな俺にも優しくて誰にでも平等に接する。
そんな兄貴だったからずっと比べられてた。
お前に比べて冬馬は、冬馬みたいにって。
同じ遺伝子なんだから少しくらい俺にも才能分けてくれてもよかったのにって何度も恨んだ。
兄貴は何も悪くないのに。
兄貴だって努力してるってわかってたのに。
「いい加減疲れて、もうどーでもいいやってなってさぁ。高校受験でわざとランク低いとこ選んだ。親に殴られて殺されかけて、でも担任説得してなんとか受けさせてもらえた。…あーここならホントの俺でいれるかもってさぁ。」
「ごめん、俺何も知らなくて…」
「言ってないんだから知らなくて当たり前だって。頭今だって言うほど良くないし。」
閉じていた目を開く。
俺の前に座った羽白の顔を見て、ギョッとした。
ぼたぼたと涙が落ちては床を濡らす。
あぁ、お前さ。
なんでそんな優しい子に産まれちゃったの。
俺 なんでまた泣かせてんのかな。
ごめんな羽白。 ごめんな。
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