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冷たい笑顔
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それからの4時間、毎時間三上はどこかへ行ってしまってポツンと一人残された。
チャイムがなる前には笑顔で戻って来るからお腹でも壊したんだろうと思ってた。
「三上、次…昼ごはんだけど。」
「え?せやな!羽白は今日もパンなん?」
「ん。今日はオニギリ。朝握ってきた。」
「へーええやんそっちのが腹持ちするもんなぁ!…ごめんな、俺ちょっと用事あるから今日は一緒に食べられへんねん。森宮らと一緒に食べてくれへん…?」
「え…?ん、…わかった。いってらっしゃい。」
「ありがとーな。じゃ、また後で!」
ヒラヒラと手を振ると駆け足でどこかへ向かってしまう。
一人きり、オニギリのラップを外して一口食べる。
朝、森宮が握ってくれたそれは大きくて口を大きく開かないと食べられない。
美味しいはずなのに。
「…味、ない。」
一人で食べても美味しくない。
味だってしないし、匂いもわからなくなる。
3つあるオニギリの一つ目だけを食べて後はカバンの中へ直してしまう。
もうこれ以上食べられない。
三上、もう俺と昼ごはん食べてくれないのかな。
窓の外を眺めながらふと、そんなことを考えていた。
振り返って森宮を見ると楽しそうに友達と話している。
俺が入る隙なんてどこにもない。
少し幸せを知るとドンドン面倒になっていく。
冷たい机へ突っ伏して目を閉じた。
早く、時間が過ぎてしまえばいいのに。
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