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「…森宮に隠し事してる。」
羽白が、目を伏せそう呟いた。
俺は箸に伸ばした手を止めたまま羽白から目が離せなくなる。
初めて見るその表情は明るい顔ではないはずなのに何故か綺麗で惹き付けられるようだったから。
「隠し事の一つや二つ誰にでも…」
「…わかってる。でも、これから先ずっと森宮を傷つけていく。」
「それ。森宮に何かしたん?」
「した、…のかも。」
悩んだ顔をして俯いてしまう。
この顔を見たら何もしてないってことだけは確かなんだろうけど。
黒い髪が目を隠し頬を隠し表情を隠してしまう。
羽白の心の中が見えない。
「それが話しにくい原因なら一言いってもうたら終わりや。でっかい隠し事は後で、今は今日明日に関わる小さい隠し事を言ってみ?」
「…小さい隠し事?」
「そ。今日帰って森宮に笑顔で話されへんくなる原因な。」
まるで何もかも知ってるかのような口ぶりで言ってみる。
少しでも羽白のためになったら…なんてのは口実で、本当は自分の偽善のため。
この知らない地で誰か一人だけでも自分を頼りにしていてほしい。
「ありがと、三上。俺…森宮に話してみる。」
「うんうん。2人は仲良しが1番ええねんから、明日も仲良く話してるとこ見せてな?」
「…ん。」
嘘。
俺を 一人にせんといて。
なんて、冗談でも言えんからな。
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