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抑制
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「あ!またそんなのばっかり食べてるっ」
訂正、小動物じゃなくてオカンでした。南倉のとこにズカズカやってくるとユキトは菓子袋を取り上げる。
そして、ユキハムちゃん厳しいと心中で嘆く探偵に「こっち食べてください」と、具たっぷりのサンドイッチを渡した。南倉は思わず二度見する。
「なにこれ?ぶっさいく」
そう、具がいっぱいの豪華ではあるのだが物凄く不格好だった。自家製らしいパンの厚さはバラバラだし、卵やチーズがはみ出している。
「どこで買ったの?」と顔を上げた南倉は、すぐさまアチャーな顔をした。ユキトが首まで真っ赤だったからだ。
「ぶっさいくで悪かったですね…」
「ゴメンナサイ…」
南倉はペコリと頭を下げると、ユキトの手作りサンドイッチを一つ手に取った。そして恐る恐る口にする。
だって目の前の少年は御曹司なのだ。きっと初料理だ。とんでもない味だ、と南倉は覚悟した。
しかし。
「あれ?美味しい…」
そう、なんか美味しかった。味加減も絶妙だ。
がつがつ食べ始める南倉にユキトは喜ぶ。有名パティシエの母を持つ器用な轟に作り方を教えて貰った甲斐があったというものだ。散々いろいろ面白がられたけれど感謝だ。今日も朝4時起きで作ったのだ。
「たくさん食べて下さいね」と笑顔で言う少年を、南倉はチラッと見上げる。
――うん、イイ子なんだよね。……うん…
己の胸がムズムズしたのを、南倉は気付かないフリをした。
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