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抑制
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「へー、綺麗になったね。すごいすごい」
南倉がその後、例の如く漫画を読みつつゴロゴロしていたら事務所は片付いていた。ちなみに彼は『掃除はその時ノッてる人がした方がいい』という考えだ。つまり、ゴロゴロしたかっただけである。
きちんと紙類は分類されガラクタも棚に収納され、掃除機と雑巾掛けが行われた室内を一望する。探偵の仕事としてのデータは、全て南倉が小型化して所持しているので問題は無かった。
大人の下らない嘘を信じた――というより嘘だと思ったけど嘘と断言できなかった少年はヌイグルミを動かさなかったが、とりあえずファブって除菌した。
箱入り息子なユキトは流石に疲れ今はソファに寝そべっている。でも、初めての達成感と充足感の混じった良い疲労のようだ。結構すっきりした表情をしている。「お疲れ様」と南倉は労った。
「でも急にどうしたの?キミはお客様なんだから、こんな事しなくて良いんだよ?」
「…お金を受け取ってくれないので」
ユキトは南倉から放られた飴玉を口に入れつつ誤魔化す。『あなたが好きだからです』なんて言える訳なかった。じわりと甘味が疲れた体に浸透する。
南倉も「あれ?」と自分の分を舐めながら言う。
「報酬は貰ってるけど?そんなに自分の唇を安く見積もってるの?」
開けっ広げでアダルト的な表現に中学生はポッと赤面する。何も返せず口ごもっていると、「かわいー」と南倉がカラカラ笑った。深い意味じゃないと知りつつユキトの心臓が跳ねる。まこと恋とは体によろしくない。
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