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抑制
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ユキトの指から紙が落ちる。
――自傷、行為…
あの、誰にでも人懐こく当たりの柔らかい人が。母親から傷付けられた怪我を、優しく手当てしてくれた人が。
「…そんなカオしても何も変わらないよ」
探偵にそう言われてユキトは自分が泣いている事に気付く。
涙がハラハラと、床に落ちた紙の上に零れる。見られたくなくて南倉から顔を背ける。でも頬を流れる雫は止まらなかった。
――ごめんなさい…稲田さん
頭が冷えた思いだった。
心が黒く重くなっていく。私服でも変わらず御守りの入った胸ポケットを握る。
――何を浮かれてんだよ…稲田さんは今も苦しんでるのに…
全部俺の、せいなのに。
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