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「すみませんっ!」
「こら、お兄ちゃんにごめんなさいしなさい!」
男の子の両親だろう男女が急いでやって来た。
母親はユキトに頭を下げ、父親は男の子を叱る。男の子はションボリして「ごめんなさい」とユキトに謝った。くりっとした大きな目に「あっいえ、こちらこそ」と中学生もつられて頭を下げる。
独りっ子のユキトは年下の扱いも不慣れだった。微笑ましい光景に後ろの南倉がクスッと笑う。
――親子か…
バイバイする男の子に手を振り、去っていく親子三人の後ろ姿をユキトは見送る。
ちゃんと謝れた我が子の手を母親が握り、頭を父親が撫でて褒めている。そして父母は顔を見合わせ笑い合った。一目で仲が良いのが分かった。
――もし
やっぱり比べてしまうのは、自分の両親。
もし父が母をきちんと愛していたら。父は歪んだ無体を働かず、母も自分を愛してくれただろうか。
そんな、不毛な事を考える。
羨ましかった。両親から真っ当な愛情を貰っている、あの男の子が。
「ユキトくん」
南倉の呼び掛ける声にハッとする。考えに耽っていたため、探偵の居る方向が判らなくなったユキトの肩がグイッと引き寄せられた。
顔を上げると南倉が優しく「行こ?」と言う。大体いつも厳しいのに、たまに甘やかしてくるからユキトはどうしようもなく、ただ頷いた。
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