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デート
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南倉の言葉は、ユキトの心身の奥深くまで溶けるように浸透した。
真っ暗な心に光が灯って、軽くなって、呼吸がしやすくなった感じがした。
探偵の、言う通りだった。
DVDを初めて観た直後からユキトは自分の罪に気付いていた。その重さを抱えきれずに、『復讐』に縋った部分もあった。
そもそも自分が不在だったから父は稲田を襲ったのだ。代わりかは分からない、息子に飽きたのかもしれない、気紛れかもしれない。
でも、居たならば。その日、父を満足させていれば稲田は無事だったかもしれない。そうすれば男達にも暴行される事もなかった。欠片も傷付かず、今も元気に笑っている筈だった。
罪だ。抗いようのない、自分の。
なのに、それでも。
「キミは悪くないよ」
南倉は、否定してくれる。
赦してくれる。
受け入れてくれる。
氷の大地に晒されているユキトに、温もりのような言葉をくれる。
この時になってユキトは、南倉がここに連れてきた理由を知った。大人が遊びたかったのではなく、罪悪感に蝕まれている中学生を年相応に遊ばせたかったのだと。
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