アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
罰
-
「ユキトぉ、ハピバぁ~」
例のカフェで一緒に昼食を摂っている最中、轟が小さな箱を取り出した。ユキトに差し出し、パチパチと拍手を贈る。
ボケッとしていたユキトは状況に目を丸くして「ありがとう」とはにかんだ。
今日はユキトの15回目の誕生日。でも朝に時任や使用人達に祝われるまで本人は忘れていた。とてもじゃないが心はそんな場合じゃなかった。
南倉と水族館に行った日から、つまり失恋してから二週間。三日おき位に顔を出していた事務所にも一度も行っておらず、探偵にも会っていない。
そこからの連絡も依頼人の癖に無視してしまっている。どう考えても例の男達についての件だから行かなければならないのだけど、どうしても無理だった。不甲斐なくて稲田にも申し訳が立たなかった。
「開けてぇ」
色とりどりのリボンに彩られた小箱を「可愛い」と頬を緩ませるクラスメイトに轟が要求する。「うん」とユキトは勿体なく思いつつも解いた。
「わっ…?」
ユキトは一瞬、宝石を連想した。
輝かんばかりに光沢を放つ大振りのブルーベリーが幾つも座す下には、スポンジとムース生地が何層も重ねられている。そして驚くべきは、一番上に乗った蝶を象った飴細工。見事なケーキだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 229