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罰
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「……すごい…」
「ありがと~。俺が作ったんだよぉ」
「え!!?」
ユキトは物凄い速さで轟とケーキを見比べる。
実に失敬だが、いくら器用と言えど中学生の仕事には思えない出来映えなのだ。新15歳の驚きっぷりに轟は「すごいでしょぉ」と自賛する。
「たまぁにヨーコちゃんの手伝いで厨房に立ってるからね~。中坊だけにぃ」
ダジャレは置いといてユキトは「ほんと凄いよ!お店に出せるって!」と誉めまくる。
スルーされた轟は気にせず「照れる~」と照れた。ちなみに『ヨーコちゃん』とは彼の母の事である。
「ユキトをイメージしてみたぁ。自信作だよ~。ベリーは疲れた時にも良いから食べてぇ」
ユキトはハッと顔を上げクラスメイトを見た。
協力してくれた轟には失恋した事は――何故かそのあと昼休み中ずっと頭を撫で回されたけど――伝えてある。轟は、もしかしたら落ち込んでいる自分を励ましてくれているのかもしれない。
視線を受けた轟はニマッとする。確信したユキトは擽ったいものを感じて俯いた。
「ありがとう轟…いただきます」
「はいどぉぞぉ」
轟のケーキは柔らかくて甘酸っぱくて、今まで食べたどれよりも最高に美味しかった。
甘党な誰かさんが、喜ぶだろうなと思うほどに。
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