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罰
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返事を待たず、電話を切った。これ以上は無理だった。
身体を折る。無機質なコンクリートに膝をついた。大粒の涙がボロボロと落ちる。
――痛い
胸が痛い。ありえないほど、いっそ笑えるほど、呼吸もままならないほどに、痛い。
もうあの狭い事務所には行けない。ネコのヌイグルミに怯えつつ座る事も無い。掃除をする事も無いし、不摂生な探偵の面倒を見る事も無い。
南倉に会う事も、二度と無い。
どのくらい、そうしていたのか。空は夕日の色に染まり黄昏の空気に満ちている。とっくに下校時刻は過ぎているだろう。
――これから…また一人で頑張らなきゃ…
座り込んで壁に寄り掛かったユキトは、泣きまくった虚ろな目を上げる。オレンジの太陽の光が瞼にしみた。
――大きな、罰だよなあ…
ユキトはキシキシになった脚を立たせ、無気力に教室へと向かう。今日は職員会議で部活動が停止のため、誰もいない中ノロノロ鞄を取り昇降口を出た。
歩いて帰るつもりだ。また運転手から仕事を奪ってしまうが、きっと泣きすぎた目は充血している。
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