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疑問
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探偵の行動理由を、ユキトは回らない思考で必死で叩き出そうとする。だけど振った相手に、ただの依頼人に――元だが――こんな行為をする理由が見付からない。
ユキトは空いた両手でドンドンと、のし掛かる体躯を叩く。息が出来なかったのと説明を求める為に。溺れそうなキスは、そうしてようやく終わった。大きく息を吐き、解放されたばかりの熱が残る唇を動かす。
「…なにを、してるんですか…今までの、『代金』の、つもりですか?」
途切れ途切れに、でも上の顔から視線を外さずユキトは抗議する。ギリギリで見当たった理由だ。だったら、ふざけてる。
しかし「は?なに言ってるの。違うよ」と、探偵はここで初めて言葉を発し表情を険しくした。だがユキトも負けじと睨む。
「意味が分からない…離して下さい。貴方と俺は、もう関係ない」
こんな事を言わせないで欲しかった。ユキトはまた込み上げてきそうになる涙を抑え、出来うる限り冷静に告げる。
すると南倉は水族館で告白した時のように、苦しそうに眉を歪ませた。
「嫌だ。一人で完結しないでくれる?関係あるよ」
どうしてそんな事を言う。そんな顔をする。ユキトは疑問で一杯になる。
突発的に辛くなって叫んだ。大人の身勝手さに、限界だった。
「無いですっ!さっき『わかった』って言ったじゃないですか!……俺を、振ったじゃないですか!!」
ほぼ悲鳴になってしまった。それが殺風景な車内に谺する。血を吐く思いだった。
ゆらりと探偵は体を起こす。しかし中学生に気圧された訳では無いようだった。その証拠にユキトの上体も起こす。そして。
強く、抱きしめた。
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