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疑問
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「ごめん」
突然のハグと謝罪に、ユキトは目を丸くする。四角い窓から太陽が沈んでいくのが見えた。
「キミは、ダメだって思ってた。まだ中学生だし、それに…」
探偵が口ごもる。珍しくて戸惑うユキトの気配を察したのか、南倉は「とにかく」と少年の頭を掻き抱いた。
「ダメだって、思った。キミの好意には気付いてた。あのタイミングでコクられるとは思わなかったけど…」
ユキトは体を熱くする。まさかバレていたなんて。
でもよく考えたら、それも納得だ。相手が悪すぎる。
「…自分でも、驚いてるんだよ」
南倉は懺悔する。
成人の彼は恋愛に対して実にドライだった。初恋はあれど淡白で来る者拒まず去る者追わず。今は男相手だけだが女性とも経験はある。しかし只の本能的な欲求を満たす為だけのセフレに過ぎなかった。
だから、こんなに会えない間、一人の顔ばかり頭を占めていたとか。そのせいで他の仕事をミスりそうになったとか。依頼人の少年の顔が見たいとか、声が聞きたいとか。またサンドイッチが食べたいとか一緒に出掛けたいとか、らしくもなく返信を待って携帯の前に張り付いていたとか。さっきの電話で一度は諦めようとしたけど、気付いたら車を走らせていたとか。
そんな、ベタな漫画みたいな現象は初めて過ぎて。起こるとは思っていなくて、自分でもびっくりしていた。
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