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疑問
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一つ一つ、告解するような南倉の言葉にユキトの心がほぐれていく。
遠慮がちに、そろそろと探偵の背に手を回した。大人のそこは広くて温かい。南倉の早い心音を感じ、視界がぼやける。
「俺も、です…南倉さんの事ばっかり考えて、会いたくて…」
腕の中からの声に、南倉は「じゃ会いに来てよ」と拗ねたように言う。
「だから振られたし」と、ユキトは額をコツンと目の前の肩に当てた。彼としては攻撃のつもりだったが、探偵にしてみれば甘えられているようなものだ。
南倉はユキトの髪に鼻先を埋める。少年に相応しい清潔な、でも微かに甘い香りがした。
情欲にも似た痺れが芽生える。体を僅かに離し、目を潤ませる下の顔を見つめた。先程も泣いていたのだろう、詫びの気持ちを込めて頬に軽いキスを落とす。
「…ユキトくん、訂正させてくれるかな。今度は、俺から言わせて」
ユキトの髪に探偵は指を通す。長い睫毛の奥から覗く、黒曜石みたいな黒い目に青年の姿だけが映っていた。
南倉は柔らかく笑む。初めて執着した対象。健気で献身的で苛烈なほどの情深さも。多少ひねくれていて、目的の為なら大人をも欺こうとする小賢しい度胸も。
ただのイイコには興味ない。嘘臭くて苦手だ。自分もひねくれているからかもしれない、と南倉は自嘲する。
ひとつずつ上げていって、至る。つまり自分は、本当に少年の事が。
「好きだ」
ユキトは静かに、涙を溢した。
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