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トラウマ
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どちらかが、したいと言った訳ではない。自然とそうなった。
月明かりが照る事務所のソファにユキトは押し倒された。
今夜は帰るつもりのない御曹司は、執事に『轟の家に泊めてもらう』と連絡した。流石に外泊となると『友達』という曖昧な括りではダメだと思ったからだ。誕生日だが、祝ってくれる家族のいない少年を慮ったのか時任は二つ返事で了解した。
もちろん轟にも伝えてある。察しのいいクラスメイトは何も訊かず嘘に付き合ってくれた。改めて感謝する。
プチプチと、制服のボタンが外されていく。緊張にユキトの皮膚が粟立った。
「…怖い?」
「いえ、やっぱり嘘だったんですね」
南倉の気遣いに少年は話のベクトルを変える。大人の声が余りにも色を含んでいて気恥ずかしくなったのだ。
行為のため探偵がいつも座る一人用ソファに、いとも簡単に退かされたネコのヌイグルミを見る。南倉が以前酔った衝動で購入し、しかしそれから仕事がバンバン舞い込むようになったので守り神的な存在らしい。探偵はまんま『お猫さま』と呼んでいる。
「爆発するなんて言っといて」
恨めしげにユキトが言うと、南倉は悪戯が発覚した子供のように「ごめんね」とペロッと舌を出した。成人男性に許される仕草ではないが似合うのは何故なんだろう。
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