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「俺は両親を幼い頃に亡くしていてね、祖父母が親代わりだったんだ。一時期は祖父の故郷に住んでたんだよ。自然豊かな美しい所で地元民も良い人ばかりで、大好きだった」
南倉の声が柔らかくなり、ついユキトが見上げると「キミも連れて行きたいな」と、屈託なく目の前の顔は笑った。前にも見た、年齢にそぐわない可愛い笑顔だ。
「祖父は変人だったけど故郷を愛していてね、俺の名前も祖国の叙事詩から付けられてるんだ。変人だろ?でも俺にとっても誇りなんだ。…だから、ユキトくんがこの曲を知ってたのが凄く嬉しい」
南倉に変人と言われたくはないだろう。とユキトはツッコミたくなったが、それを押し留めたのは何かを頭が掠めたからだ。あれ?と小首を傾げる。
――俺、どうしてこの曲を知ってるんだ…?
ベートーベンなどの他国の有名な交響曲ならまだしも、童謡なんて授業で習った事はない。オーケストラやテレビでも聴いた事はない。
ユキトは気になったが、南倉が甘えるようにしがみついてきたので慌てて思考を中断した。「な、南倉さん?」と問うとフッと青年は短く息を吐く。
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