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事後
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「でもさ~…この容姿のお陰で日本に帰国した俺は学校でイジメられちゃったんだ…可哀想でしょ?慰めて」
「えっイジメたの間違いじゃないんですか?」
ユキトに他意は無く純粋な驚きだった。だけど「どういう意味かな?」という探偵の艶やかな、しかし凄みのある声音に過ちを知る。
うなじをカプリと噛まれ、痛みはないがビックリした少年は「うわっ」と悲鳴を上げた。
「ご、ごめんなさい…でも、やられっぱなしじゃ、なかったんでしょ…?」
噛まれた後をいやらしく舐められる感覚に、ユキトは喘ぎ声にならないよう慎重に言う。シたばかりの体はまだ敏感だった。
すると、官能的な行為に伴わない「当然」という軽い声が背後から返ってくる。
「あらゆる手を使って潰したよ。正当防衛だから許されるよね」
予想以上の答えにユキトの顔が引きつる。子供の頃とはいえ…怖い。何をしたのか訊けなかった。
「知りたい?」と言われ首を左右に振ってお断りすると、南倉は「冗談だよ」とクスクス笑った。どれに対する冗談なのか分からない。
「うん。まあそんなワケだからさ、ユキトくんに水族館で誉められて嬉しかったんだ。気にしてなかったけど、やっぱり少しコンプレックスだったみたい」
思いがけない言葉にユキトはパチクリする。
意外だったが、でもどんなに強い精神の持ち主でも好奇の目で見続けられたら辛いだろうと予想できた。槍玉には挙げられなくとも、少年も少なからず母親から受けた暴力の跡をそういう目で見られている。
「…南倉さんも人間だったんですね」
「なにそれ…」
同情でも傷の舐め合いでもどうでもよく、二人は顔を見合わせて笑う。
「懲りないねキミは」と意地悪く囁くと、南倉は今度はユキトの唇に噛み付いた。
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