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発覚
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「ユキトぉ、今日ウチに遊びにこない~?」
放課後、ユキトが帰り支度をしていると轟がフラリとやってきた。
珍しい誘いに「え」とユキトが顔を上げるとクラスメイトはノヘッと笑う。
「ヨーコちゃんが久々に休みだから新作ケーキ作るってぇ。仕事バカだよね~」
試食においで、という事だろう。
それは魅力的だ。日本国内だけでなく、海外にもファンを多く有するパティシエ轟洋子の新作。ぜひとも食べたい。
だが。
「ごめん、ちょっと今日は用事があるんだ」
ユキトは合掌して謝る。これから南倉に会う予定なのだ。
「ほんとゴメン」と小さくなって詫びるユキトに轟は「あー」と気付いたように言う。
「デートだ」
「違いますよ!?」
思わず全力でユキトは否定した。
しかしながら構わず轟に「分かったぁ。楽しんでおいでぇ」とクシャクシャ頭を撫でられる。クラスメイトには感謝しているが遊ばれている気――最近ようやく気付いた――がする。
「いや、だから、違うって…」
きっと依頼ーー契約破棄は破棄になったーーの件だ。南倉が飄々としているので見落としがちだが、探偵業は昼夜を問わず忙しい。そうそう恋人に構っていられない。
ユキトも正直デートをしたいと思わなくもないが、その前に自分達は仕事上の関係もある。
――いいんだ、南倉さんに会えるだけで充分幸せだから
うっすらユキトが頬を染めると、また轟はクラスメイトの頭を無遠慮にかき混ぜた。
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