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発覚
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パチンと出された光る刃にユキトは一瞬怯む。が、すぐに探偵の意図を察し手を伸ばした。
微かに震える指でゆっくりと柄を握る。南倉の体温でほんのりと温かった。
――重い
いくら非力であっても物量的にそれは有り得ない。
だけど、ずしりとした重みを感じ取り落としそうになった。命を奪える手段を持つ凶器だからか、そう思ったユキトは慌ててその思考を追い出す。
相手は大切な稲田を傷付けた奴だ。ユキトは自分を叱咤して、強く両手で刃物を握る。
それを一瞥した探偵は己の体を使って人間の急所を教えた。
「おすすめはココ。ユキトくんみたいに力が無い子でも刺して少し捻れば簡単に殺れる」
「…いいんですか?そんな事、俺に教えて。殺人教唆ですよ」
ユキトは冷えた顔を上げ、弱く笑う。すると南倉も困ったように笑い「今更でしょ」と肩を竦めた。
「付き合うよ、ユキトくん。地獄の果てまで」
堕ちるのは、この言葉に感謝してしまった自分だけでいい。そう、ユキトは思った。
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