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逃亡
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御守りの紐を外して逆さまにすると、南倉の掌には予想通り例の厚紙が落ちてきた。
しかし。
「えっ…」
一瞬、ユキトは粒ガムかと思った。
しかし『それ』はガムより遥かに薄く硬質で黒光りしている。それが、続けて探偵の手の上に転がった。もちろんユキトは覚えがない物だ。
「な…何ですか?そ…ッ!?」
ユキトの言葉より前に、南倉は床にそれを落とすと勢いよく踵で踏みつけた。パキッと無機物が割れる小気味良い音がする。
中学生が粉々にされた残骸をポカンと見ていると、その腕を南倉が掴み強い力で引っ張った。
「南倉さん!?」
突然ドアに向かって走る探偵にユキトは面食らう。依頼人を掴んでいない反対側の手には少年の鞄が首尾よく握られていた。
訳も分からず付いていくユキトが事務所を出た途端足を縺れさせると、いつかのように南倉は少年を抱え上げる。
「ちょっ!南倉さんっ離して下さ…ッ」
強引な南倉に抗議しようとしたユキトは、探偵を見上げビクリと竦む。
それほど、南倉は酷く険しい顔をしていた。
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