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逃亡
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「ユキトくん大丈夫?ごめんね」
一時間ほど走り車はとあるマンションに入った。特に目立たない、極普通の外観だ。
薄暗い地下駐車場に停め、降りると南倉は助手席に回る。あれから何度かグルグルと撒いた為に気分が悪そうにしているユキトに手を伸ばし詫びると、少年は「平気です」と自力で降車した。
依頼人は過去に涙を隠そうとしたり、たまに意地を張る。そこが愛嬌と言えば愛嬌だが。
「あの、ここって…?」
足早にエレベーターへと共に乗り込み、階上に向かう箱の中でユキトが尋ねる。これくらいは訊いてもいいだろうと判断した結果だ。南倉は「うん」と手短に告げる。
「俺の隠れ家の一つ」
一つ、という事は他にもあるという意味だ。
事務所が自宅も兼ねているのかと何となく思っていた少年は些か驚いた。しかし『隠れ』と冠されているあたり流石は探偵、穏やかでないものを感じる。ユキトは今更ながら南倉の職業を再認識した。
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