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逃亡
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「潮の流れが少ない、且つ海岸沿いの人通りがそれなりに多い内海で見付かったんだ。…まぁ、たぶん運悪く発見されなきゃ犯人が自ら通報したと思うけどね。変声器でも使って」
なるほど。しかし、何でそんな急いで?早く発見されて、それで犯人に何の得があるのだろう。アリバイだろうか?
意味が未だに見出だせないユキトは怪訝な気持ちを表に現す。南倉は指ごと手を下に降ろすと「ね、どうして今なんだろうね」とヒントを出した。
「犯人は狐目の男をどのみち殺すつもりだったんだろう。…でも、どうして『今』なのかな。だって、ユキトくんがDVDを送られて来てから4ヶ月は経つ。いつから監禁されたのかは分からないけど、『彼女の件』の直ぐ後だろうね。仲間と音信不通になったのもその頃らしいし。大の男を4ヶ月も監禁するのは意外と骨が折れると思うよ。さっさと殺ればいいのに、どうしてそんな面倒な事をしたのかな?…その答えが、さっきの御守りに入っていた黒いヤツだ」
ユキトは気付くと握った掌に汗をかいていた。
そういえば、何だかタイミングが良すぎないか。稲田を凌辱した男達に――狐目の男に南倉が行き着いて、ユキトが復讐を断念したのは、ほんの一週間ほど前だ。まるで、こっちの動向に合わせたかのような―――
「まさか…」
ユキトの察しに、南倉は「そう」と返す。
「あれは盗聴器だよ。犯人がキミに仕掛けたんだ」
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