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罠
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俺が逃げてるからだ。
犯人は俺を傷付けたいのに殺したいのに、隠れてるから。閉じ込もってるから。
――見せしめ、に
「…っ」
ユキトはふらついて壁に寄りかかる。体に力が入らない。
発狂しそうだった。頭がガンガンして高い耳鳴りがする。
「ごめ、なさ…」
目が潤む。写真の中の時任の青白い顔が滲む。
ずっと傍にいた、兄のような優しい彼の姿が消えていくのを想像して身震いした。
――いやだ…嫌だ!!
ユキトは何も考えられなくなる。
犯人が何故ここが分かったのかもどうでもよくて、ただ、時任に会いたかった。自分の命すら省みなかった。
ユキトは弾かれるように壁から離れる。
慌ただしくドアの内鍵を開けると、靴も履かないまま外に飛び出した。
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