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家庭内事情
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「うく、坊っちゃ…しみますけど、泣かないで、ひっく、下さいましね」
「う、うん…」
切れた口角を消毒しようとする稲田(いなだ)に、ユキトは困り果てつつ応じた。
彼が自室に戻って本当にすぐに――しかもドアを蹴破る勢いで――やってきたメイドの彼女は、手当てをしながら号泣している。丸顔の頬にザーザーと滝の涙が零れていく。
だから幾らしみても、ユキトは眉一つ動かさない。大人しくガーゼを当てられる。
「坊っちゃん…僭越ながら申し上げます…稲田は、悔しいです!悲しいです!何故いつもいつも坊っちゃんをこんな目に…奥様は何をお考えなのでしょう!?」
「俺にも、分かんない…かな」
二十代前半の稲田は5人居るメイドの中で最も年が近いこともあり、ユキトを弟のように可愛がっている。
未婚ながら母性愛に満ちる彼女は、我が子を折檻する雇用主の妻に常々憤りを感じていた。ちなみに、父親の方の件は知らない。この家の中でユキトへの性的虐待を知っているのは、ほんの少数。父親は有名企業の代表取締役兼社長であるため、流石にこの点は巧みに隠していた。
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