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家庭内事情
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「いっそ坊っちゃんの身代わりになりたいです…っ」
本当は理由が分かっているユキトの言葉を信じた稲田は、やりきれぬ思いですんすん啜り泣く。年上のお団子頭をユキトは「そんなのダメだよ」と撫でた。
「稲田さんが殴られるなんて絶対に嫌だ。許さない」
「坊っちゃん…イケメンすぎます!一生付いていきます!!」
「何を言ってるんですか稲田さん…」
顔を上げ涙目をキラキラさせながら信者みたいな事を宣うメイドに、入室してきた執事が呆れ声を投げ掛ける。
「とっ時任さん!ノック忘れてます!」と照れ隠しに注意する稲田に、「しましたよ何回も」と時任は苦笑する。自分の声がデカかった事を悟った彼女は赤くなった。
「そっ、そんでもっ!坊っちゃんはイケメンやけん!!」
「稲田さん、言葉言葉」
稲田は興奮すると故郷の方言が出る。それがユキトは好きだ。時任のツッコミの後に「出たぁ」と笑う。からかわれた稲田は「もうっ坊っちゃん!」とむくれ、そして時任と共に微笑んだ。
何かと庇ってくれるこの使用人二人が居なかったら自分はとっくにダメになっていたと、ユキトは思う。
度々邪魔してくる時任を母は気に食わないようだったが、有能なため解雇出来ないでいた。
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